記憶をたどると、心地よい切なさが追いかけてきます。
たまには、心のアルバムを深呼吸させてみるのもいいものです。
今とは、ちょっと違ったしあわせな時間を散歩してみませんか。
ぬくもりアーティスト高木政史さんによるなつかしい風景をお楽しみください。
〈魔法のやかん〉
大学ラグビー部のエースだったお
兄さんはお父さんの病気後、会社
をやめ畳(たたみ)を作り始めた。

部員から送られたへこんでいるや
かんで、毎日、口に水を含み霧を
吹き、畳をより生き返らせていた。

お兄ちゃん、この植木枯れそうだ
から、やかんのお水ちょうだい。
よしゃー。

ラガーが倒れてもやかんの水を飲
むとすぐに立ち上がり、試合に戻
れたと聞いていたからだった。
翌日には植木は元気になっていた。

お兄ちゃん、腕にぶら下がらせて。
ポパイよりすごい腕だった。
もういいのか?
自分の力がなくなり落ちていた。
Copyright MASASHI TAKAGI
ある日お兄ちゃんが、お地蔵さん
の前でひざをついて祈っていた。
そして地べたに頭をつけ、手で土
を何度も何度もたたいていた。

おっ、しばらくだな。腕にぶら下
がるか?
うん。

おー、もうかんべんしてくれ。
お兄ちゃんのほうが我慢できなか
った。その腕はポパイではなくオ
リーブの腕になっていた。

お兄ちゃん、魔法のやかんの水飲
まなくちゃ・・・。
飲んでいるんだけどな―。

何も悪いことしてこなかったのに
な―。奇跡のやかんと名付けてお
けば良かったなあ―。
魔法のやかんは、まずやかんを消
し、お兄さんを消し、畳屋さんも
消した。

おっと、やかんのお湯が沸騰して
いるのを忘れた。

今、自分のからだはブルートより
おなかが出てしまっている・・・。

ピー、ノーサイド。

2008. 1.28

ビタミンYOU 高木政史個展「昭和のビタミンアルバム」開催中
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いまだかつて百まで
  あんなに早く数えたことはない 2008.2.11
2カ所の雪だるまの運命  2008.2.25
地盤沈下か河童のいたずらか 2008.3.10
1回だけ 2008.3.24
上天丼にはえび3本 2008.4.7

おじいちゃん、炬燵にはいりなよ
足踏みミシン
ゼンマイ仕掛けの柱時計
すみません。おじいちゃん、おばあちゃん